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低身長のコラム

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治療について

医学がこんなに進歩する迄は、人間の手の及ばない所の代表に、頭の中、心臓、身長がありました。現在では、開頭術、開心術、身長促進といずれも可能になったのです。今回は低身長の治療について述べます。

同学年の3~4クラス集まった中でも、背の低さで1~2番目くらいの低身長で、いろいろ検査をして、成長ホルモン不足のあることが分った上で成長ホルモンを治療として使うと、治療前に、その時の標準身長から12~15cm以上低かった身長が4~8年間に標準に近づくのですから素晴らしいことです。もし治療せずにいたなら成人しても電車の吊輪にも手がとどかなかったり実生活上大変な支障があるはずなので、治療でその人の人生が一変したと言っても過言ではないでしょう。

次もホルモンの病気ですが、最近の医学の進歩の恩恵を十分に受けている思春期早発症を話しましょう。これは一時的に急速に身長、体重の増える時期があり、両親は大きくなったと喜んでいると、女子で8才以前、男子で9才以前に思春期がが来てしまうのです。そのまま放置しておくと背は非常に低いままで止まり、10才位で成人になったのでは、精神的発育が伴わず、実生活がうまく行かないので悲劇でした。この病気は以前から知られており、治療も内服薬、点鼻薬、一ヶ月に一回の注射薬へと変わって来て、とてもよく治療効果が出るので、以前のように低身長プラス精神的未熟に泣くことがなくなりました。

甲状腺ホルモン不足もまた成長を妨げます。生まれつき(先天性)のものは出生時代謝異常検査(ガスリー検査)でほぼ100%発見されますし、それ以後発症(後天性)のものも治療を開始すれば症状、低身長も直ちに回復してきます。

女児だけですがターナー症候群と言って染色体異常と卵巣発育不全のくる病気があります。これには背が低いだけの人から外見ですぐわかる人まで幅広い症状があるので精密検査が必須で、3000人に1人の頻度ですから決して稀ではありません。この病気もまた成長ホルモン治療で身長を伸ばすことができます。

その他、軟骨の病気の軟骨異栄養症や腎臓の働きがひどく悪くて(慢性腎不全)、成長障害のくるものにも成長ホルモンを使うことができるようになっています。しかし前述したターナー症候群以外の大部分の染色体異常、先天性奇形症候群、骨系統疾患など原疾患の治療法も十分でなく、当然のことながらそれに伴って起こってくる成長障害(低身長)に対しても良い方法のない病気が多くありますが、ここに入る人はごくわずかで、実際には、低身長で専門外来を訪れる人の中では、背が低いだけで、成長ホルモンその他すべての検査成績は正常で、原因不明のため特発性低身長と呼ばれる一群が約18%、家族性低身長、体質性低身長、低出生性低身長-出生時身長47.5cm以下で3才までに標準身長にならず、ぞれ以後にも低身長が続いているもの-などが約50%にも及ぶので、こうした人たちの背を伸ばすには医学のもう一段の進歩が必要です。

遺伝子組み換えの技術でヒト成長ホルモンを充分に使うことができるようになりましたが、これだけに頼るわけには行きませんし、たとえ成長ホルモンが使える病気であっても低身長の程度を少しでも軽くするための食事の大切さはもっと重要視されるべきだと考えています。低身長の人に.3才までの食事不足、特に蛋白質不足は付き物のように思えます。母乳からミルク、離乳食への切り替え失敗とか、生来小食、偏食など栄養性低身長と考えれる頻度の多いことに驚きますし、小学校入学時の背の順とよく相関すると言われているので、この時期にクラスの一番前になったら将来低身長で悩むからと対策を考えるべきなのに、こうした一般常識もあまり活用されているとは思えないのです。

以上述べてきましたように今迄全く治療法がないと考えられていた低身長も医学の進歩で治療できるようになって来ましたが、全ての低身長を治療できるのではありません。成長には一定の期間があるので時期を失しないようにしたいものです。適切な時期は小学校入学前から10才位でしょう。予約し、今迄の発育表、母子手帳を持参して専門医を受診されると良いと思います。

諦めないで・・・

成長ホルモンが発見され、バイオの技術で合成ができ臨床上、不足なく使えるようなって10年以上になるので、世間では背が低ければすべてこのホルモンで背が伸ばせると思っている人もあるようです。しかし実際に身長が同年齢の子ども100人中で低い方から2番目迄の人で、本当に成長ホルモンが少なくて低身長であり、治療できている人は全低身長児の15%くらいです。では残りの人たちはどうしているのでしょうか。周りを見ますと、以下に述べるような理由で初めから背を伸ばすことを諦めている人達のいることに気付きます。

その第一はいわゆる未熟児で生まれた人達ですが、特に出生時、満期産なのに身長が47.5cm以下(正常児は50cm)で生まれ、3才以後も正常身長域に追いつけず、母子手帳の発育表では3%タイル以下をたどっている子供、従って小学校入学時も身長の順ではクラス最前列のはずです。

第二は両親又はそのどちらかが同世代に比べても、格段に低身長なので、親の背が低いから子供も低いのはしかたないと思っている人と、親の背が低いが、昔から親より子供は背が大きくなるだろうと根拠のない楽観をしている人達です。
第三は出生時には身長、体重とも標準であったのに食欲が十分でなかったりで、十分な栄養がとれずここへ入る子供も前述の身長・体重とも母子手帳の発育表の3%タイル下限をたどって発育してきたのです。

第一の項目に入る人は低出生児生低身長、第二のものは家族性低身長、第三のものは栄養障害性低身長と呼ばれ、いずれも成長ホルモンの分泌は正常であるけれども低身長と思われています。しかし詳しくみてみますと、この3項目に入る人達の中にも成長ホルモン検査をすると分泌が悪いこと、即ち成長ホルモン部分欠損性であることを示すデーターが得られることがあります。その他に女児で標準身長から15cm以上も背が低い時、外見上全く異常がなく見えても、染色体検査を受けてみると、異常があって、将来女性としての成長に障害の出るターナー症候群や、太りすぎ傾向で背の低いブラター・ウィリー症候群が見出される時があります。この2疾患に対しても最近は成長ホルモンによる治療を受けることが出来るようになり、身長を伸ばすことができるようになりました。

この他にもいわゆるオクテ「思春期遅発症」を伴う体質性成長遅延、その他まだ現代の医学でははっきり原因を明らかにできないでいる成長の遅れと思われているものの中にも、精力的に検査をしたり、丹念に発育の経過を追ってみると原因が明らかになり、治療の道が開かれることがあります。

現在、子供の身長が低くたとえその原因を、親として思い当たり、背を伸ばすことについて諦めている場合でも、もう一度背を伸ばす可能性があるかも知れないと考え、専門医の受診されるとよいと思います。その祈りには予約すると共に、今迄の発育表、母子手帳も持参されるのが良いでしょう。

いつ迄に身長はのびるか

幼稚園、小学校で我が子の背が低いことが分った時、多くの親は、そのうちに伸びる。または高校生(15才~18才)になっても背が急伸した子を知っているから我が子もそうなると願うようです。
では身長はいつ迄伸び、その程度はどのようか考えてみましょう。発育が正常である日本人男子では身長が急伸するのは13才、女子は12才頃で、男子17才、女子15才で身長の伸びは止まります。この年令を越しても伸びているのは、思春期の出現が遅く、従ってホルモン面では成人として完成しないので、身長が遅くまで伸びる、いわゆる「オクテ」です。これには2群あって、身長はそれほど低くなく思春期発来だけ遅れているものと、身長も低い(標準身長に対して10cm近くも低い)ものとあります。男子14才、女子13才で思春期徴候がなくても低身長でなければ、最終身長に関してだけは心配ないわけで、ここで話題にしているのは低身長であって「オクテ」思春期遅発症の子供がどんな経過をたどるのかなのです。
こうした子供達の母子手帳からの身体測定データから過去の発育歴をみてみると、乳児期にすでに身長の伸びが悪く1才時の乳児検診で低身長の指摘を受けていることが多く、ほとんどが4才までに低身長が明らかになり、それが小学校、中学前半まで続いている。標準身長の子と身長差が縮まらないまま・・・平行移動的成長・・・中学後半か高校生になって思春期が来て身長が伸び成人の身長になっているのです。本邦の正確な統計はないのですが、低身長でオクテの子供の約半数は正常身長になるが半数は標準身長以下、男子で160cm、女子で150cm近辺に止まると推定されています。これは思春期遅発症では男性化、女性化する力が弱く思春期発来時に身長急伸するのが正常児にくらべて少ないことも原因の一つになっています。

この体質性思春期遅発症は低身長で医療機関を訪れる患者の20%~40%に見られ決して稀なものではありません。全学童では0.5%くらいです。現在の医学では思春期以前特に小学校の時に「オクテ」になるかどうか診断する方法がないのです。ただこの体質性思春期遅発症は父母の一方にこの傾向のみられる率は60~90%と言われているだけです。従って背が低いと思った時「オクテ」を伴った低身長で正常身長となるのか、或いは平均身長を大きく下廻る成人身長になるのか見分ける方法はありません。しかし、低身長のままで成長の終わってしまう「オクテ」を伴った人達の中にかなりの頻度で成長ホルモンが不足しているために思春期発育が遅れている例のあることも分っています。この人達は治療すれば十分普通身長になれるのです。低身長に気付いた時は根拠もなく高校生になる迄身長が伸びると思わず専門医の診察を受けることが大切です。その折は母子手帳、発育記録表を持ってあらかじめ予約診療として行くのが良いでしょう。

最終身長について

現在自分の子供の背が低く、クラスで一番前列にいても、成人すれば、普通の身長になると希望を持つのが親の気持ちです。そこで小学校一年生の時、男児で107cm以下、女児で106cm以下であった児童の高校三年生の時の身長を調べてみました。私の所も10年以上にわたる成長の経過を見るだけのデーターが集まるようになりましたし、全国でも同様の成績の集計がなされています。結果は、両親のどちらかが低身長(父親158cm以下、母親146cm以下)、または、満期産でありながら出世時身長47.5cm以下か、或いは体重2600g以下の時、最終身長はとても低く、男子158cm以下、女子148cm以下が85%近くにもなります。専門的な表現をすると、家族性低身長と子宮内発育不全による低身長の場合は、強く影響が出て、正常の平均身長に達することが難しいことを示しています。しかしこうした悪影響を及ぼす原因のない子供を集めて、データーを分析してみると小学校一年生の時には低身長であった子の60%が男子162cm、女子150cmには達しています。

しかしこれでも現在の標準身長に較べれば低いことに間違いありません。ではこれ以上身長が伸びて標準である男子170cm、女子157cmに達するかどうかは、思春期が普通の人より早く始まったか、遅く始まったかによって決まっています。すなわち、思春期が早く始まると早くに身長の伸びが止まるので、身長のことだけを考えれば、思春期が始まるまでにできるだけ身長が伸びていて、その上で思春期の始まりが遅ければ最終身長は大きくなるわけなのです。

従って、他の子と較べて背が低いと思ったなら小学校一年生即ち6才~7才で専門医を受診するのが最適ですが、遅くとも思春期が始まる10才には受診しないと手遅れになるわけです。早期受診が必要なのは、成長障害の中には、治療のできる病気が多くみられますし、精密検査の結果に応じて治療したり、治療できなくても低身長の悩みや将来に対する不安についての助言が必要となるからです。

さらに治療ができると分った時には早期でないと十分の治療効果が出ないのです。成長についてはその時期があり、何時でも良いわけではありません。これは20才や30才になって身長が伸びるとは誰も考えないことからも明らかでしょう。例えば成長ホルモンで治療する場合を考えても、低身長があまりひどくならないうちに治療を始めないと成長可能な年令までに正常身長に追いつけないのです。

最後にあまり知られていないのですが、成長障害の原因が頭の中の腫瘍であることも稀ではないのです。今迄毎年5.5~6cmの身長増加があったのに急に成長が悪くなり一年に2~3cmしか伸びない場合に見られます。早期なら腫瘍そのものも完治し、身長も正常になりますが、手遅れで視力まで失うこともあるのです。

以上延べたように低身長の子供を持っている時は早目に専門医を受診されることをおすすめします。その折には母子手帳、幼稚園、学校の健康手帳など発育の記録を持って、電話であらかじめ予約していくのが良いでしょう。

運動して背が伸びるか

背の低い子に運動すれば背が伸びると聞く事が多いですが、本当にそうなのでしょうか。
そうだとすると運動によって何センチ伸びるのでしょうか。身長を伸ばすのに大きな役割を果たす成長ホルモンは、睡眠、運動、空腹時に分泌されます。しかし運動することでこのホルモンが大量に出て最終身長を5~10㎝も伸ばすなどと言うデーターは、この分野の研究を探しても全くないのです。
今から30年ほど前ベストセラーになった「背が高くなる本」の副題に“あと3㎝伸ばすため”にとありました。爆発的に売れたのはやはり“あと3㎝”でも身長を伸ばしたいという人が大勢いたからでしょう。最近では「子供の身長を伸ばす生活マニュアル」という題の本も出ています。これらの本は蛋白質の多い食品を食べ、よく運動をし、熟睡をするように書いてあります。どこの家庭でもこれに心掛けているでしょうから、本に書かれている事を完全実施で3㎝とすれば、普通に生活し運動していれば1~2㎝は伸びているはずです。実際のところ非常に運動量を増しての効果は1㎝内外でしょう。
見方を少し変えてみると、身長は頭の重量が脊椎への負担になることから、朝測定時の方が大きく、夜は低くなっています。朝夕の差は平均で0.5㎝。大きいと0.8㎝は普通です。さらに毎回の身長測定にも測定誤差はありますから、年間の身長測定差が1㎝以内となった時、成長が止まったと考えるのが成長を専門にしている人達の常識になっています。これらの事をも考慮に入れると、たとえ有ったとしても1㎝位の差は学問的に運動をした為と断定できるだけの数字ではないことはおわかりになるでしょう。

実は成長に大きな影響を及ぼすものには、家系的要因(遺伝)といつ思春期がきて第二次性徴が始まるかがあり、この二つの影響の前には運動によって得られるプラス部分は影響が薄いと言わざるを得ないのです。本当の所運動もやらないより、やった方が良いのですが、それに大きな期待を掛け過ぎないことです。身長を伸ばすために無理をして毎日クタクタになる迄運動をする必要は無く、医学の進歩により、成長曲線や精密検査などから良い方法が見出せる可能性も大きいので、専門医を受診、相談されるのが良いでしょう。

成長曲線をつけてみよう

自分の子が普通より背が低いと思った時にはその年齢集団中で、どの程度かを知るには母子手帳、幼稚園、小中学校の身長測定記録から成長曲線を描いてみるのが最良です。使用するグラフは標準成長曲線グラフで、これは子供達の身長、体重を各年齢ごとに集計し平均をグラフにしたもので、平均値を中心に、標準的発育範囲すなわちプラス・マイナス一標準偏差ライン(この中に全体の68.3%が入ります。)、正常限界であるプラス・マイナス二標準偏差ライン(全体の95.4%が入る)が書き込まれているものです。このグラフに何才何ヶ月時の身長かを測定順に正確にプロットすれば発育の傾向は一目瞭然です。
図1にあるように6才0ヶ月男児で105cm、その後もこの程度の身体の伸びなら、このグラフの延長線上に17才時の身長162~164cmがあるので、この予測最終身長で満足かどうかで対処の仕方が決まるでしょう。
図2や図3に示されるほど極端な低身長であれば、当然早い時期に専門医を受診して成長ホルモン治療を受ければ正常近くまで背が伸びると期待できます。一番問題なのは背は低いが、思春期の身長スパートで大きくなると思っていたのだが、思ったほどの伸びがなく最終的に低身長になった図4の例や、背の低いまま思春期が来てしまい結果的に低身長になった図5のような場合です。いずれも早期に専門医を受診していれば治療の方法があり、最終身長はもっと大きくなっていたはずです。成長曲線を描いて心配があれば専門医を受診されると良いでしょう。

複合原因

背の高さの順で並ぶと、小中学校のクラスで前から1~2番目に入る子達が数年以上そのままの席次の発育を示しているとき、その原因を探してみると、一つだけでないことに気付きます。身長の伸びの傾向は隔世遺伝しますから両親や祖父母が低身長であれば、家族性低身長としての原因に考えられます。特に父方、母方相方にあるときは、遺伝的要因の家計内集積として子供により強く影響することは考えられることです。この他に満2才まで十分食事を摂っていない時は成長に大きな影響を及ぼします。ミルク嫌い、離乳食を十分食べなかった、食事にムラがあった等は低身長の原因である栄養性低身長を考えなければなりません。

成長に関与する要素を考えるとき、2才までは食事量すなわち栄養が、3才から10才くらい迄は成長ホルモン、それ以後は思春期に入るので性ホルモンが成長の第一要因とされていることにもよく合いますし、古くから言われている「三ツ子の魂、百までも」の表現は食事習慣の形成、すなわち、小食、普通に食べられる、偏食などにも適応することです。幼稚園くらいからは食欲が十分あり次の食事が待てないくらいの子と食事そのものに興味がなく食事が遅くなっても請求しないし、場合によれば一食位抜いても空腹を訴えない子に分かれます。当然のことながら、後者には背の低い子が多いのです。この他に、38~40週満期産で出生時の標準3kg、50cmなく、特に身長が47.5cm以下で食欲不振から2才までに男児85.5cm、女児84.5cm、標準体重、身長に追いついていない子では、これも「三ツ子の魂~」の言い伝え通り成人になっても平均身長に達しないことが多く低出生児性低身長とされます。クラスで前から1~2番の背の子達は、この3つの原因のうち一つでなく二つ、又は三つも持っていることが多く複合要因による低身長であり、放置したのでは身長の伸びが標準に達しない可能性が極めて高く、治療してもなかなか効果が出ないことが多いのです。低身長の原因が一つだけでないと思われるのならできるだけ低年令からの対策が必要です。

身長が低いと近医受診しても正常範囲内だからとか、毎年身長が伸びているからと言われる場合があるようです。これは、主治医が病的に背が低い範囲でないから正常とされるのでしょうが両親は正常範囲の内でもなるべく標準に近く成人になった時、男子165cm、女子154cm以上を望むからでしょう。世の中全般が中流指向なので身長にもこれが出ているのでしょう。相談した医師との見解の相異が、判断のズレになっているようです。では本当に両親が低身長と考える範囲を示すと、標準身長マイナス1.7標準偏差くらいで表に示しておきました。根本的には、これより数センチ低くないと病的とはならないのです。この範囲に入りそうなら専門医の意見を聞き、対策を立てるのが良いでしょう。

一般的に低身長と考えられる身長の表

単位:cm
 
年齢
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
93.4
99.1
105.1
110.9
116.3
121.4
126.4
131.0
136.2
143.1
150.7
92.3
99.1
104.8
110.3
115.4
120.0
125.9
132.3
138.9
143.9
146.8

(標準身長マイナス1.7標準偏差の差)

その原因と頻度

最近の医学の進歩はすばらしく、今までは治療不可能だったことが次々に可能になっています。その1つに背の低い人に成長ホルモンを使うことで普通の人と同じ身長に近づけることがあります。しかし背が低ければだれでもこの治療が受けられるわけではなく、同年齢100人中、背の順で前から2番目か、3番目までの低さ、すなわち小学校低学年で標準身長より10cm、高学年で12cm、中学生なら15cmくらいも低いことと、いろいろな検査から成長ホルモンが本当に不足していることが分かって、初めて治療ができ、身長を伸ばすことが可能となるのです。これに入る人は低身長で来院する人の13~15%くらいです。残りの大部分の人たちの低身長の原因は、祖父母、両親、親戚など家族の中に低身長の人がいて遺伝の力が強いと思われる家族性低身長6~9%。出生時普通は3kg、50cmあるはずが身長50cmを下回り、成長しても標準身長との差を縮められず、小学校入学となった低出生児性低身長。3歳までは成長ホルモンによる成長よりも毎日の栄養が十分かどうかが成長には一番関係するので、3歳まで食事を十分とっていないことからの低栄養性低身長です。この3つで低身長の原因のほぼ半分以上を占めます。

この他精密検査をしても遺伝性の原因も、見当たらない、現在の医学レベルでは原因不明としかいいようがない原発性低身長が18.3%、染色体異常によるターナー症候群4.2%、骨軟骨の異常によるもの3.2%、そのほか4.8%、不明7.7%です。視点を変えての背の低さの程度から見ても前述の成長ホルモン治療を受けられる範囲に入るほど極端な低身長ではなく、標準身長から7~10cm以内の低さの人がとても多く、またこの人たちすべてを満足させる良い治療法も多くないのも事実です。

こうした大多数の人たちの治療はまず低身長の原因になっている事柄で、除くことのできるものや、治療できることを行い、できる限り身長が伸びるようにするのは当然のことです。

低身長の人にほとんど見られると言っても過言ではないのは食事量の少ないことです。小食のほかに、好きなものならまずまずの量を食べるのに、嫌いなものは食べないので、平均の食事量は少なくなります。

どんな治療法をするにしても食事量、特に蛋白質の量を多くしなければ背は伸びないので、こうした少食の人たちに対しては1週間の食事およびおやつなど食べたものをすべて計算し、記入させ、それを専門の栄養士の分析により、食事の偏りの発見、少量しか食べられないなら、高蛋白高カロリーの食品に重点を置くなど、食事習慣の改善も低身長を治すには大切なことです。しかし来院時期が遅すぎて身長の伸びが止まりかけている人や、治療しても本人の希望身長に達しない時は、長く低身長での劣等感に悩まないためにも、早めに心理面でのカウンセリングも必要になります。

現在身長が低いことだけでなく、最終予測身長を考えた上での診療相談が大切なのです。前述したような背の低さ、1年間の身長の伸びが6歳から12歳の小学生の間で4.5cm以下の時は、今はそれほどなくても、数年の内には必ず極端な低身長になることが予測されるので、十分相談できる専門医を早めに訪ねることが良いでしょう。

低年齢で治療を始めたほうが効果が大きい

この頃他の子に比べて背が低いからと診察に来られる子どもの両親(特に父親)にしばしば見られる傾向の一つをお話しましょう。

今も一年間に3~4cmは背が伸びているのだからもう少し先に診察を受けるのでもよいと思っていた、あるいは医学が進歩しているのだからいつでも診察の時期は良いと思っていたなどがあります。本当にそうでしょうか?

成長科学協会のデータのまとめでは、成長ホルモン分泌が悪くて低身長で治療が終わり成人に達した人について調べてみると、治療開始年齢の平均は12歳から13歳半でした。その後ずっと治療を続けていたのですが、最終身長は男性159cm、女性148cmに達していない人が約35~40%もいることが分かったのです。
この原因は治療を始める年齢が遅すぎることにあるとされています。成長ホルモン分泌が不足の人達に成長ホルモンによる治療をした場合と、正常の人との思春期以後の身長の伸びに差がないことが分かったのです。

では、成長ホルモン不足で治療を受けた人たちで最終身長が極端に小さいままで終わった原因は何だったのでしょうか?それは治療開始年齢が12歳~13歳半と遅いため思春期が始まる前にはあまりに長い期間治療を受けられず思春期が始まった時には正常児との間に大きな差があり、この差をこの後うめられないまま最終身長になってしまっているのです。

今でも治療開始の一番良い時期は小学校入学時、すなわち6歳前後と言われてきましたが、最近ではもっと早期に、すなわち3歳児健診以後が注目されるようになりました。
治療効果を見ると治療を開始した最初の年は今までの身長の伸びの2~2.5倍位の速さで身長が伸びるのですが、その後数年がたつと治療薬に対する慣れの現象が出て、少しずつ年間身長の伸びは初年度ほどは伸びないようになります。従って思春期が来るまでに出来るだけ正常児と同じくらいの身長まで持っていきたいこと、治療を始めて毎年同じだけ身長が伸びるのではなく、年数に従って少しずつ伸び率が低下するのでその分を見込む必要があることなどから早期診断、早期治療が強調されますし、重症例に対しては従来の小学校入学時と言われていた最適時期がもう少し早くなりそうなのです。

以上述べてきたことからもお分かりのように、「成長」のような子どもの生涯の初期の一時期にしか見られないものを考える時には、必ず最適の時期があり、前述の両親のように「いつでも良い」とか、「もうしばらく様子をみていよう」と言った消極的な態度では普通の子と同じ身長にはならないことは分かっていただけたと思います。

各年齢の低身長の目安の一覧表を掲げておきましたので検討されてはいかがでしょうか。

低身長の目安(表の数値以下が低身長)

単位:cm
 
年齢
2.5
3.5
4.5
5.5
6.5
7.5
8.5
9.5
10.5
11.5
12.5
13.5
14.5
15.5
16.5
84
91
97
103
107
112
118
122
127
131
136
143
151
156
158
83
90
97
103
106
112
117
121
126
133
140
144
146
147
147

(6歳未満は-1.5SD、6歳以上は-2SDを示す)
※諏訪琥三先生作成の「1990年版 横断的成長曲線」より

年間身長の伸びについて

小学校で並ぶ度に、背の順で1列か2列前へ行く子がいます。これは同学年の子と同じだけ年間身長が伸びていないことによるので、そのうちにクラスの中で背が低い方になってしまうことを示しています。各年齢の正常の年間身長の伸びをみると、3歳児男子7.5cm/年、女児7.4cm/年から、1番年間の伸びの少ない年齢の男児10歳4.9cm/年、女児の場合9歳で5.4cm/年を底に、13歳男児9.9cm/年、女児11歳で8.3cm/年を頂点とした逆さ富士のようなカーブを描いています。

ですから一般に小学校時代は、いつでも5~6cm/年の身長の伸びがあるのが普通といわれているのは正しい見方です。一方これだけの身長の伸びのない人達のいることも確かで、こうした人達が入学当時は普通身長だったのに学年が進むにつれて背が低いほうへ入っているのです。年間の身長の伸びが病的に悪いとされる基準を表に示しました。

年間身長の伸び不足の基準値

 
年齢
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15

(センチ)
6.4
5.8
5.1
4.6
4.6
4.4
4.1
3.9
4.1
5.5
7.7
5.0
2.3

(センチ)
6.3
5.8
5.4
5.1
4.6
4.3
4.2
5.2
6.7
4.5
1.7
0.6
0.2

小学校へ入ってから年間5cm以下の身長の伸びでは成人したとき、100人中背の低い方で前から2人までの範囲に入ってしまいます。

たとえば小学校1年、満6歳児の身長が102.5cm(標準身長113.4cm)とすると標準身長から1標準偏差(S・D)以内で全体の65%以内に入っていますからやや小柄ですが正常範囲といえます。しかし、年間成長速度が5cm…標準の伸びのマイナス1.0標準偏差であると、最終身長は160cm以下となります。

このように小学校低学年で背の順でクラスの真ん中より少し前にいたのに年間の成長速度が正常よりやや少ないので最終的に男子で160cm、女子で148cmくらいになる人は多いのです。もしこの場合の成長速度が表に示したような要注意範囲…標準のマイナス1.5標準偏差…に入るとすると、男児の場合8年後の14歳過ぎには身長は147cm、最終身長は154cm…標準身長マイナス3標準偏差と極端に低くなってしまいます。

この年間の身長の伸び率が標準に達しない人はかなりいますが、表に示したマイナス1.5標準偏差以下の発育を続ける子供は多くはないが、こうした子供の中には成長ホルモンの分泌が悪い人が多いし、治療すれば普通の身長になるといわれています。その時には、今までの発育の様子を知るため母子手帳、健康手帳など今までの身長体重の記録を持参し、あらかじめ診療の予約をしておくことが良いでしょう。

低身長児の急激な身長増加に要注意

幼稚園の頃から小学校4年生10才頃まで、身長が標準より7~10cm位低いが、毎年4.8~5cm前後身長の伸びがあるので、結果的には標準身長に平行移動的に成長して、標準との差が一向に縮まらないでいる子供の場合です。

成長表から見ると標準身長マイナス1.5標準偏差以内、すなわち全体の70~75%内には入っていて一応正常範囲内の成長と判断されているのですが、この子供達の中で、男子で9~10才、女子で8~9才で体重が増え小児体型から脱却しかけているのが外見からも分るようになり、今迄よりも身長の伸びも大きく、背の順でクラスの前の方にいたのが急に真中へ近付いて来た場合は要注意なのです。

この場合一般的には今迄背が低くて悩んで来たのに、急に背が伸び親は喜びこそすれ、これが要注意事項だったり困った事の始まりと考えることは極めて稀です。

これは早くに成長のピークが始まったことを意味しているので、普通の男児なら15才、女児14才で成長が止まるのに、これより早く成長が止まり最終身長は低くなる可能性を示しているからです。

標準の子供の年間成長速度は、小学校前半ではいつも6~7cm位で男子の場合小学校時代の伸びの最低の時は10才の時の4.9cm/年でこれを思春期のはじまる前の足踏み期間と呼んでいます。その後13才9.9cm/年と身長は急伸します。女児では9才最低の5.4cm/年、11才で8.3cm/年のピークを示し、その後2年位で身長の伸びは止まるのです。誰でも成長がピークを抑えてから止まる迄の身長の伸びはほぼ一定なので、標準身長よりかなり低い所で思春期が始まると最終身長は低身長域にとどまることになります。具体的に言えば男子で声変わりが起ればその後平均で7cm、女子の場合生理が始まれば5cmしか伸びないとされています。

これらの体の変化は思春期後半に当り成長から考えれば最後の段階に当るからです。従って男子で150cm以下、女子で140cm以下でこうなった時、最終身長は男子で158cm以下、女子で147cm以下の医学的に言う本当の低身長に入ってしまうのです。

異常に早く大人になってしまう病気に思春期早発症があります。この時は男子で10才以下で声変わりとか女子で7才以下で乳房膨大とか普通の親なら我が子の異常発育に気付く症状がありますから医療機関へ受診すると思うのですが、今迄述べて来た事例はそれほど極端ではなく身長の割には思春期の始まるのがやや早い「オマセ」の感じに過ぎない点に問題があり、親は専門医への受診必要に思いいたらないのが普通です。しかし実状は程度は軽いのですがよく似ています。この中に入る人達は二次性微出児の時の身長によりますが、男子で最終身長158~164cm、女子で148~153cm位の可能性もあるのです。今迄背が低かった子の身長の急伸する時期が普通より早いと感じたら専門医を受診し相談する事が大切です。

最終身長の予測

子どもが幼稚園から小学校入学時になると、親はわが子が大人になった時どのくらいの身長になるか考えるようになります。誰しも子どもは親より身長が大きくなるとは思っていますが、具体的な数字はわからないことが多いようです。

身体発育調査、統計的分析などから最終身長予測式は作られています。出生f時に未熟児であって、生後3年までに標準発育幅内に回復していないとか、満期産であって出生時身長が小さいとか、両親の双方の家系に極端に背の低い人がいないとか、3歳まで、食欲不振がない、大きい病気がなかったなどの条件を付けた上で予測最終身長は松尾氏(慶応大)によると次の計算式で表されるとされています。

男児の場合、父と母の身長の和を2で割り、8.5cmプラス、女児の場合は、父と母の身長の和を2で割り、マイナス4.5cmとするもので、この世には父母の世代と子どもの世代との身長差は2.0cmとして、これを加算してあるのです。これから考えられることは、両親のどちらかが非常に背が低いと、この式から得られる最終慎重派それほど大きくはならないことです。

背が低いといって外来を受診する多くの子供に、実際にこの計算式を当てはめて予測最終身長をだし、数年から十数年経って、実際の最終身長と比較してみると、どうもこの式は甘すぎ、実際の最終身長より大きな計算値を出しているようです。特に男児にこの感を強く持ちます。

このほかの予測式には、7歳時の身長で最終身長を予測する荒木氏(高知医大)のものがあります。男子は7歳時身長×0.97プラス54.2cm、女子は7歳時身長×0.91プラス49.8cmを予測最終身長とするので、実際の最終身長は予測した数字のプラス、マイナス3ないし4cm以内に80%の人が入るとされています。実際には予測最終身長マイナス2ないし、3cm以内の人が多いようです。

最終身長に最も関連するのは両親の身長で関連係数0.66とされていますから身長に関して約7割が遺伝的要因によると言えます。その次の要因は思春期が始まる時期で、早く男の子や女の子になったときは一般に身長が低いことからも分かるように、男女とも思春期が始まってしまうと、それから伸びる身長はほぼ決まっているので、それまでに身長がどれだけ伸びていたかが最終身長に大きく関係すること、その出現が遅ければそれまで身長が伸びつづけるので、最終身長は大きくなるのが重要な点です。いわゆる「おくて」で中3や高1で声変わりした人に高身長の人がいることがこの例です。

現実にクラス中で1番背が低くて、数年成長ホルモンで身長を伸ばす治療中の子供達に希望身長を尋ねると、男子で175cm、女子で160cmといずれも現在の男女の標準最終身長を大きく上回った数字を言う割合が最も多いのを見ると、いかにスラリとした身長への憧れが強いか知らされます。

それにつけても、もしわが子が現在少し背が低く、前述した予測最終身長もそれほどでないなら、男子で11歳から12歳まで、女子で10歳までに専門医の所へ今までの発育記録持参で、電話予約の上、受診してみるのもよいでしょう。

低身長はいつから始まるか

日頃から我が子の身長が低いと感じていたものの、幼稚園や小学校に入学して同年齢の子の中に並んでみると、具体的に背が一番低いことを実感する親が多いのが現実のようです。

成長に大きな役割をはたしている成長ホルモンが不足して背の低い人達も、従来言われていたように2~3才から身長の伸びが悪くなるのではなく、出生間もなくから標準身長に達しない人もいることが分かって来ています。母子手帳には成長発育表があり、この範囲に入れば正常と考えられるプラスマイナス10パーセントタイルと、これを割り込むと要注意のマイナス3パーセントタイルが表示されています。身長の3パーセントタイルとは、背の順に100人を並べて低い方から3%、すなわち前から3人までに入ることを意味しているわけで、かなりな低身長と言えます。

低身長は、出生時にすでに身長が低い未熟児や子宮内発育不全の子は別としても、小学校1年で低身長を示す子供の成長記録をみると、ほとんど生後6ヵ月から1才時には少しづつ正常身長範囲を下廻っています。乳児検診での結果をみると男女合わせて身長で3パーセントタイルを下廻るベビーは、4ヵ月児で10.5%、10ヵ月児で7.5%です。体重の3パーセントタイルが、4ヵ月児で4.3%、10ヶ月児で9.5%と比較して、かなり多いことが目につきます。

乳幼児期の低身長の要注意範囲は標準身長マイナス1.5標準偏差、すなわち2.3パーセントタイル以下と考えられています。

乳幼児期の低身長のめやす

 
年齢
出生時
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5

(センチ)
47
64
72
77
80
84
88
91
94
97

(センチ)
46
63
70
75
80
83
87
90
94
97

低身長児のほとんどすべてに食事量の少ないことがみられます。食事量のムラ、好きな物しか食べなくて、結果的に偏食であること、甘い物が好きで蛋白質不足など食欲はあるが摂取食事の質と量不足と、全く食欲不足による食事量不足と分かれはしますが、いずれにしても成長に必要な蛋白質不足が低身長に這う社をかけているのは事実です。3才まで十分な蛋白量とカロリーを摂っていないと、その後たとえ普通に食事をとるようになっても、成長した時標準身長にはならないことが多いとされています。そして低栄養からきた低身長の場合、小学校入学後、何とか身長が伸びるように治療を希望して医療機関を訪れても、本当の意味での成長ホルモン不足による低身長ではないので、このホルモンによる治療は受けられません。こうした人達に対しては熟練した栄養士による食事の量と質の分析とその結果に従った食事内容の改善、食事習慣の見直しと矯正などを含めた根気のいる指導が、将来低身長になるべき乳幼児のかなりを正常身長近くにすることが分かっています。

低身長の始まる時期とは、成長ホルモン不足による低身長は重症例を除けば2~3才から甲状腺機能低下症と女子にだけ見られるターナー症候群は出生時からとその原因によって目立ってくる時期がいろいろです。ほとんどすべての低身長に共通し、しかもこれが主原因のことも多い食欲不振からの低栄養素による低身長に、もっと目を向け、真剣に対処することが大切です。

思春期開始時の身長で最終身長が決る

幼稚園、小学校を通じて、背の高さがクラスで前から1、2番目の子供の両親に気持ちを聞く機会がありました。一番多かったのが、父親に代表される、そのうちに急速に背が伸びる時が来て、普通の子と同じ身長になると思っているというものでした。

低身長の程度をみると同学年の3クラスを合わせても背の低い方から2~3番に入るから医学的にも低身長域で、年間の身長の伸びも4cm台で、誰がみても異常に背が低く、発育も悪い小児の親であっても、思春期発来時の身長急伸に過大な期待をかけていることが分かったのは驚きでした。

本当の思春期の始まりは一般の方が考えているよりずっと早く、男子で10才、女子で8才が普通です。思春期がいったん始まると、少し個人差はありますが、最終身長までの伸びは、平均的には大きな差はないのです。男子では思春期が始まって最終身長まで30~35cm、女子では20~25cm伸びます。このように第二次性徴が出現して、最終身長になる間の身長の伸びが一定しているのに、最終身長で男子平均170cm、女子平均157cmに達しない子が大勢いるのは、思春期になるまでの身長が標準身長と比較して大幅に低いからなのです。

具体的に言うと、思春期開始時の身長が低いと最終身長も低いまま終わることが多いからです。従って現在背が低いが将来平均くらいでありたいと思うなら思春期が始まる直前、男子なら10才くらい、女子なら8才くらいまでに標準身長にできるだけ近づくよう、少なくとも標準身長マイナス1標準偏差以内(普通の子の68.3%はこの範囲に入るはず)に入るようにすることです。大ざっぱな言い方をすれば、標準身長より男子で4.5cm~6cm、女子で4~5cm以上低くならないよう、いろいろと手を打つことが必要になります。繰り返して述べますと、最終身長を決めるのは、思春期が来るまでに伸びた身長によるので、思春期が始まってから伸びる身長によるものではないのです。男子の場合、声変りを迎えると思春期終段で、身長の伸びも多くはありません。女子の場合、初潮があればこれが思春期の終わりに当り、その後、身長は5cm位伸び最終身長になるのです。

小児の身長の伸びのパターンを知らず、いつかは背が伸びると思って6才~10才までの一番大切な時期に何もせずにいて、身長の伸びが止まりかける頃に悩む人が多いのは本当に残念なことです。

思春期が男子で130cm以下で、女子で125cm以下で始まってしまった場合には、最終身長が男子で158cm以下、女子で147cm以下の低身長に終わることが予想されます。男子で11才、女子で10才までに標準身長よりあまり差のある場合には、専門医を受信し、対策を立ててもらうことが必要でしょう。

小学校1年生の身長が最終身長に関係

小学校で朝礼、運動会など背の順に一列に並ぶ時に最前列の子の将来の身長を考えてみましょう。

最近の身長追跡研究の結果は、小学校1年生の時の身長の順位は成長した時と良く相関することを示しています。分かりやすく言うと小学生1年生の時、背の低い子は成長しても背が低いままのことが多いのです。ただこれにも例外があっていわゆる「おくて」の特例型-男子の声変わりが15才以後、女子の初潮が13才以後にみられ、その間身長が伸び続けていると、普通に二次性徴が出現し、身長が止まってしまう子供より長期間身長が伸びるので最終身長は大きくなるのです。しかしこれは両親のどちらかがこうした「おくて」であっても、子供全員にこの傾向を遺伝するわけではないので、これに全ての期待をかけて、一番背の伸びる時期を何も対策を立てずにいるのは良いことではありません。

なぜ小学生1、2年で背の低い子は大きく伸びないことが多いのか調べてみますと、こうした子供は標準身長の子より1年間の身長の伸びは少ないのです。普通、この年齢の男女とも、1年間に6cm前後伸びるはずです。背の低い子たちの多くは年間身長の伸びが、4.5cm~5cmですから、現在の身長も低く、毎年の身長の伸びも平均にも及ばないとすれば、最終身長が標準身長に達しないことは容易に考えられることです。しかし、どこの親も欲目でわが子を見ますから、そのうちには大きくなるはずだ、高校生になっても背が伸びた子がいるからわが子もそうなるだろうと言う希望的観測で、中学生後半になるまで、放置している家庭が多いようです。

年間身長の伸びでは、第二次性徴出現(男子では声変わり、女子では初潮)の直前に急速に身長の伸びる時期があります。男子の標準は1年に10cm、女子で8.2cmですが、年間身長の伸びが悪い場合では男子7cm、女子6cmしかなく、ここでさらに大きく差が開きます。結局小学校1年生時平均身長があり、毎年の身長の伸びも標準だけあれば、最終の身長の急伸するスパートも大きいのですが、小1の時、毎年の伸びも標準に足りない子は身長の伸びでの最後のジャンプ期にもあまり大きく伸びず、成人した時、結局背の低い方に入ってしまうことが多いと言えましょう。従って身長の伸びは急成長した後、その翌年は半分の伸び(前年10cm伸びれば次の年は4~5cmとなる)となりその翌年はさらにその半分の2~3cmとなり第二次性徴出現後2年位で身長の伸びは止まってしまうのです。従って現在の進歩した医学をもってしても第二次性徴が出現してからは大きく身長を伸ばすことは不可能で、100人中前から2~3人くらいに入る低身長の子の身長をを伸ばすには男子で11~12才まで、女子で10才までと言われる理由はここにあります。理想を言えば、小1の時に身長がとても低ければ、この時点で専門医を受診し、対策を考えることが最良なのは、年間の身長の伸びの悪さを考えれば明らかなことです。

小学校の新入生時は新しいことの連続で親子とも忙しい時期ですが、校庭に並んだわが子の身長から将来の姿を予測し、考えることも親の務めの一つのようです。

本当に背が低いと考えなければいけない範囲とは?

最近は子供の発育についての管理が良くなり、母子手帳への記入、幼稚園での計測などで、自分の子が人並みの身長か、注意を要するほど背が低いかの判断は、かなり早くからできるようになっています。しかしながら具体的にどの年齢で何をすべきかの対策はまだ不十分であると思われます。

一才から三才までは母子手帳にある成長曲線の一番下のライン(3%ライン)付近が統計学的に100人中で前から三番目になります。医学的な低身長は「標準身長マイナス標準偏差の2倍」以下とされているので、母子手帳の3%ラインはこの基準に近く、低身長への要注意グループに入ることになります。

この場合、その原因を追究し、対策を立てることが大切ですが、現実には十分行われていないようです。この時期を過ぎ、幼稚園、小学校へ入り背の順に並ぶ機会が多くなると、親も「我が子の発育が人と違うかもしれない」と気付くことになります。クラスの中で一番前でも、二番目の子供とあまり違わなければ病的に背が低いと考えなくても良いかもしれませんが、二番目の子と大きく違う時は、医学的に低身長の範囲に入る可能性があるので重大に考えることが必要です。

子供の背の順以外に、もう一つ大切なことは一年間の身長の伸びです。幼稚園、小学校前半では正常なら一年間6cm前後は伸び、クラスでの背の順の席もそれほど変わらないものです。しかし年間の伸びが4.5cm以下ですと各年齢の標準身長からだんだん下の方へ離れて行き、クラスの席順は前の方に押しやられることになります。このまま放置するとその先何年経っても標準身長にならないことは明らかですが、多くの家族は「そのうちに背が急伸して標準身長になる」と根拠のない望みにすがって、何もせず大切な発育前、中期を過ごしてしまいます。その結果、発育後期、つまり小6から中2になって慌てて受診される方が多くなります。

実際に、幼少時に専門家による適切な生活、栄養指導で成長が改善され、低身長域を脱する人も多くいらっしゃいます。また、六才以後になれば、精密検査をして原因をつきとめ、それに合った治療、例えば成長ホルモン治療で、今迄年間4cmしか背が伸びなかったお子さんが8~10cmも伸び、数年のうちに正常域の身長まで追いついてしまう例も数多くあります。ですから、もしお子さんが母子手帳の成長曲線3%ライン近辺、あるいは幼稚園、小学校のクラスで背が一番前なら、発育表持参で一度専門医に相談されることはとても大切です。