医療法人真正会 川村小児科 kawamura children's clinic

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コラム
Column

身長 4 低身長はいつから始まるか

日頃から我が子の身長が低いと感じていたものの、幼稚園や小学校に入学して同年齢の子の中に並んでみると、具体的に背が一番低いことを実感する親が多いのが現実のようです。

成長に大きな役割をはたしている成長ホルモンが不足して背の低い人達も、従来言われていたように2~3歳から身長の伸びが悪くなるのではなく、出生間もなくから標準身長に達しない人もいることが分かってきています。
母子手帳には成長発育表があり、この範囲に入れば正常と考えられるプラスマイナス10パーセントタイルと、これを割り込むと要注意のマイナス3パーセントタイルが表示されています。身長の3パーセントタイルとは、背の順に100人を並べて低い方から3%、すなわち前から3人までに入ることを意味しているわけでかなりの低身長と言えます。

低身長は、出生時すでに身長が低い未熟児や子宮内発育不全の子は別としても、小学校1年で低身長を示す子供の成長記録をみると、ほとんど3歳までには少しずつ正常範囲を下廻っています。乳児健診での結果を見ると男女合わせて身長で3パーセントタイルを下廻るベビーは、4カ月児で10.5%、10カ月児で7.5%です。体重の3パーセントタイルが、4カ月児で4.3%、10カ月児で9.5%と比較してかなり多いことが目につきます。乳幼児期の低身長の要注意範囲は標準身長マイナス1.5標準偏差、すなわち2.3パーセントタイル以下と考えられています。(表参照)

乳幼児期の低身長のめやす

年齢男子(cm)女子(cm)
出生時4746
0.56463
17270
1.57775
28080
2.58483
38887
3.59190
49494
4.59797

 低身長児のほとんどすべてに食事量の少ないことがみられます。
食事量のムラ、好きな物しか食べなくて、結果的に偏食であること、甘い物が好きで蛋白質不足など食欲はあるが摂取食事の質と量不足と、全く食欲不足による食事量不足と分かれはしますが、いずれにしても成長に必要な蛋白質不足が低身長に拍車をかけているのは事実です。3歳までに十分な蛋白質とカロリーを摂っていないと、その後たとえ普通に食事をとるようになっても、成人した時標準身長にはならないことが多いとされています。

そして低栄養からきた低身長の場合、小学校入学後、何とか身長が伸びるよう治療を希望して医療機関を訪れても、本当の意味での成長ホルモン不足による低身長ではないので、このホルモンによる治療は受けられません。
こうした人達に対しては熟練した栄養士による食事の量と質の分析とその結果に従った食事内容の改善、食事習慣の見直しと矯正などを含めた根気のいる指導が、将来低身長になるべき乳幼児の身長改善に役立つことが分かってます。

 低身長が顕著になる時期は、成長ホルモン分泌不全性低身長は3歳頃から甲状腺機能低下症と女子だけに見られるターナー症候群は途中からと時期がいろいろです。ほとんどすべての低身長に共通し、しかもこれが主原因のことも多い食欲不振からの低栄養による低身長にもっと目を向け、特に乳幼児期に真剣に対処することが大切です。

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