医療法人真正会 川村小児科 kawamura children's clinic

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コラム
Column

学校1年生の身長が最終身長に関係



小学校で朝礼、運動会など背の順に一列に並ぶ時に最前列の子の将来の身長を考えてみましょう。

最近の身長追跡研究の結果は、小学校1年生の時の身長の順位は成長した時と良く相関することを示しています。
分かりやすく言うと小学生1年生の時、背の低い子は成長しても背が低いままのことが多いのです。
ただこれにも例外があっていわゆる「おくて」の特例型-男子の声変わりが15才以後、女子の初潮が13才以後にみられ、その間身長が伸び続けていると、普通に二次性徴が出現し、身長が止まってしまう子供より長期間身長が伸びるので最終身長は大きくなるのです。
しかしこれは両親のどちらかがこうした「おくて」であっても、子供全員にこの傾向を遺伝するわけではないので、これに全ての期待をかけて、一番背の伸びる時期を何も対策を立てずにいるのは良いことではありません。

なぜ小学生1、2年で背の低い子は大きく伸びないことが多いのか調べてみますと、こうした子供は標準身長の子より1年間の身長の伸びは少ないのです。
普通、この年齢の男女とも、1年間に6cm前後伸びるはずです。
背の低い子たちの多くは年間身長の伸びが、4.5cm~5cmですから、現在の身長も低く、毎年の身長の伸びも平均にも及ばないとすれば、最終身長が標準身長に達しないことは容易に考えられることです。
しかし、どこの親も欲目でわが子を見ますから、そのうちには大きくなるはずだ、高校生になっても背が伸びた子がいるからわが子もそうなるだろうと言う希望的観測で、中学生後半になるまで、放置している家庭が多いようです。

年間身長の伸びでは、第二次性徴出現(男子では声変わり、女子では初潮)の直前に急速に身長の伸びる時期があります。
男子の標準は1年に10cm、女子で8.2cmですが、年間身長の伸びが悪い場合では男子7cm、女子6cmしかなく、ここでさらに大きく差が開きます。
結局小学校1年生時平均身長があり、毎年の身長の伸びも標準だけあれば、最終の身長の急伸するスパートも大きいのですが、小1の時、毎年の伸びも標準に足りない子は身長の伸びでの最後のジャンプ期にもあまり大きく伸びず、成人した時、結局背の低い方に入ってしまうことが多いと言えましょう。
従って身長の伸びは急成長した後、その翌年は半分の伸び(前年10cm伸びれば次の年は4~5cmとなる)となりその翌年はさらにその半分の2~3cmとなり第二次性徴出現後2年位で身長の伸びは止まってしまうのです。

従って現在の進歩した医学をもってしても第二次性徴が出現してからは大きく身長を伸ばすことは不可能で、100人中前から2~3人くらいに入る低身長の子の身長をを伸ばすには男子で11~12才まで、女子で10才までと言われる理由はここにあります。
理想を言えば、小1の時に身長がとても低ければ、この時点で専門医を受診し、対策を考えることが最良なのは、年間の身長の伸びの悪さを考えれば明らかなことです。
小学校の新入生時は新しいことの連続で親子とも忙しい時期ですが、校庭に並んだわが子の身長から将来の姿を予測し、考えることも親の務めの一つのようです。

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