コラム
Column
複合原因
背の高さの順で並ぶと、小中学校のクラスで前から1~2番目に入る子達が数年以上そのままの席次の発育を示しているとき、その原因を探してみると、一つだけでないことに気付きます。
身長の伸びの傾向は隔世遺伝しますから両親や祖父母が低身長であれば、家族性低身長としての原因に考えられます。
特に父方、母方相方にあるときは、遺伝的要因の家計内集積として子供により強く影響することは考えられることです。この他に満2才まで十分食事を摂っていない時は成長に大きな影響を及ぼします。
ミルク嫌い、離乳食を十分食べなかった、食事にムラがあった等は低身長の原因である栄養性低身長を考えなければなりません。
成長に関与する要素を考えるとき、2才までは食事量すなわち栄養が、3才から10才くらい迄は成長ホルモン、それ以後は思春期に入るので性ホルモンが成長の第一要因とされていることにもよく合いますし、古くから言われている「三ツ子の魂、百までも」の表現は食事習慣の形成、すなわち、小食、普通に食べられる、偏食などにも適応することです。
幼稚園くらいからは食欲が十分あり次の食事が待てないくらいの子と食事そのものに興味がなく食事が遅くなっても請求しないし、場合によれば一食位抜いても空腹を訴えない子に分かれます。当然のことながら、後者には背の低い子が多いのです。
この他に、38~40週満期産で出生時の標準3kg、50cmなく、特に身長が47.5cm以下で食欲不振から2才までに男児85.5cm、女児84.5cm、標準体重、身長に追いついていない子では、これも「三ツ子の魂~」の言い伝え通り成人になっても平均身長に達しないことが多く低出生児性低身長とされます。
クラスで前から1~2番の背の子達は、この3つの原因のうち一つでなく二つ、又は三つも持っていることが多く複合要因による低身長であり、放置したのでは身長の伸びが標準に達しない可能性が極めて高く、治療してもなかなか効果が出ないことが多いのです。
低身長の原因が一つだけでないと思われるのならできるだけ低年令からの対策が必要です。
身長が低いと近医受診しても正常範囲内だからとか、毎年身長が伸びているからと言われる場合があるようです。
これは、主治医が病的に背が低い範囲でないから正常とされるのでしょうが両親は正常範囲の内でもなるべく標準に近く成人になった時、男子165cm、女子154cm以上を望むからでしょう。
世の中全般が中流指向なので身長にもこれが出ているのでしょう。相談した医師との見解の相異が、判断のズレになっているようです。
では本当に両親が低身長と考える範囲を示すと、標準身長マイナス1.7標準偏差くらいで表に示しておきました。根本的には、これより数センチ低くないと病的とはならないのです。この範囲に入りそうなら専門医の意見を聞き、対策を立てるのが良いでしょう。
一般的に低身長と考えられる身長の表
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年齢 | |||||||||||||||
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4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | |||||
男(cm) | 93.4 | 99.1 | 105.1 | 110.9 | 116.3 | 121.4 | 126.4 | 131.0 | 136.2 | 143.1 | 150.7 | ||||
女(cm) | 92.3 | 99.1 | 104.8 | 110.3 | 115.4 | 120.0 | 125.9 | 132.3 | 138.9 | 143.9 | 146.8 |