コラム
Column
最終身長について
私の所も10年以上にわたる成長の経過を見るだけのデーターが集まるようになりましたし、全国でも同様の成績の集計がなされています。
結果は、両親のどちらかが低身長(父親158cm以下、母親146cm以下)、または、満期産でありながら出世時身長47.5cm以下か、或いは体重2600g以下の時、最終身長はとても低く、男子158cm以下、女子148cm以下が85%近くにもなります。
専門的な表現をすると、家族性低身長と子宮内発育不全による低身長の場合は、強く影響が出て、正常の平均身長に達することが難しいことを示しています。
しかしこうした悪影響を及ぼす原因のない子供を集めて、データーを分析してみると小学校一年生の時には低身長であった子の60%が男子162cm、女子150cmには達しています。
しかしこれでも現在の標準身長に較べれば低いことに間違いありません。
ではこれ以上身長が伸びて標準である男子170cm、女子157cmに達するかどうかは、思春期が普通の人より早く始まったか、遅く始まったかによって決まっています。
すなわち、思春期が早く始まると早くに身長の伸びが止まるので、身長のことだけを考えれば、思春期が始まるまでにできるだけ身長が伸びていて、その上で思春期の始まりが遅ければ最終身長は大きくなるわけなのです。
従って、他の子と較べて背が低いと思ったなら小学校一年生即ち6才~7才で専門医を受診するのが最適ですが、遅くとも思春期が始まる10才には受診しないと手遅れになるわけです。
早期受診が必要なのは、成長障害の中には、治療のできる病気が多くみられますし、精密検査の結果に応じて治療したり、治療できなくても低身長の悩みや将来に対する不安についての助言が必要となるからです。
さらに治療ができると分った時には早期でないと十分の治療効果が出ないのです。
成長についてはその時期があり、何時でも良いわけではありません。
これは20才や30才になって身長が伸びるとは誰も考えないことからも明らかでしょう。
例えば成長ホルモンで治療する場合を考えても、低身長があまりひどくならないうちに治療を始めないと成長可能な年令までに正常身長に追いつけないのです。
最後にあまり知られていないのですが、成長障害の原因が頭の中の腫瘍であることも稀ではないのです。
今迄毎年5.5~6cmの身長増加があったのに急に成長が悪くなり一年に2~3cmしか伸びない場合に見られます。
早期なら腫瘍そのものも完治し、身長も正常になりますが、手遅れで視力まで失うこともあるのです。
以上延べたように低身長の子供を持っている時は早目に専門医を受診されることをおすすめします。
その折には母子手帳、幼稚園、学校の健康手帳など発育の記録を持って、電話であらかじめ予約していくのが良いでしょう。