コラム
Column
いつ迄に身長はのびるか
では身長はいつ迄伸び、その程度はどのようか考えてみましょう。
発育が正常である日本人男子では身長が急伸するのは13才、女子は12才頃で、男子17才、女子15才で身長の伸びは止まります。
この年令を越しても伸びているのは、思春期の出現が遅く、従ってホルモン面では成人として完成しないので、身長が遅くまで伸びる、いわゆる「オクテ」です。
これには2群あって、身長はそれほど低くなく思春期発来だけ遅れているものと、身長も低い(標準身長に対して10cm近くも低い)ものとあります。
男子14才、女子13才で思春期徴候がなくても低身長でなければ、最終身長に関してだけは心配ないわけで、ここで話題にしているのは低身長であって「オクテ」思春期遅発症の子供がどんな経過をたどるのかなのです。
こうした子供達の母子手帳からの身体測定データから過去の発育歴をみてみると、乳児期にすでに身長の伸びが悪く1才時の乳児検診で低身長の指摘を受けていることが多く、ほとんどが4才までに低身長が明らかになり、それが小学校、中学前半まで続いている。
標準身長の子と身長差が縮まらないまま・・・平行移動的成長・・・中学後半か高校生になって思春期が来て身長が伸び成人の身長になっているのです。
本邦の正確な統計はないのですが、低身長でオクテの子供の約半数は正常身長になるが半数は標準身長以下、男子で160cm、女子で150cm近辺に止まると推定されています。
これは思春期遅発症では男性化、女性化する力が弱く思春期発来時に身長急伸するのが正常児にくらべて少ないことも原因の一つになっています。
この体質性思春期遅発症は低身長で医療機関を訪れる患者の20%~40%に見られ決して稀なものではありません。
全学童では0.5%くらいです。現在の医学では思春期以前特に小学校の時に「オクテ」になるかどうか診断する方法がないのです。ただこの体質性思春期遅発症は父母の一方にこの傾向のみられる率は60~90%と言われているだけです。
従って背が低いと思った時「オクテ」を伴った低身長で正常身長となるのか、或いは平均身長を大きく下廻る成人身長になるのか見分ける方法はありません。
しかし、低身長のままで成長の終わってしまう「オクテ」を伴った人達の中にかなりの頻度で成長ホルモンが不足しているために思春期発育が遅れている例のあることも分っています。
この人達は治療すれば十分普通身長になれるのです。
低身長に気付いた時は根拠もなく高校生になる迄身長が伸びると思わず専門医の診察を受けることが大切です。
その折は母子手帳、発育記録表を持ってあらかじめ予約診療として行くのが良いでしょう。