医療法人真正会 川村小児科 kawamura children's clinic

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コラム
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めないで・・・



成長ホルモンが発見され、バイオの技術で合成ができ臨床上、不足なく使えるようなって10年以上になるので、世間では背が低ければすべてこのホルモンで背が伸ばせると思っている人もあるようです。

しかし実際に身長が同年齢の子ども100人中で低い方から2番目迄の人で、本当に成長ホルモンが少なくて低身長であり、治療できている人は全低身長児の15%くらいです。では残りの人たちはどうしているのでしょうか。
周りを見ますと、以下に述べるような理由で初めから背を伸ばすことを諦めている人達のいることに気付きます。

その第一はいわゆる未熟児で生まれた人達ですが、特に出生時、満期産なのに身長が47.5cm以下(正常児は50cm)で生まれ、3才以後も正常身長域に追いつけず、母子手帳の発育表では3%タイル以下をたどっている子供、従って小学校入学時も身長の順ではクラス最前列のはずです。

第二は両親又はそのどちらかが同世代に比べても、格段に低身長なので、親の背が低いから子供も低いのはしかたないと思っている人と、親の背が低いが、昔から親より子供は背が大きくなるだろうと根拠のない楽観をしている人達です。
第三は出生時には身長、体重とも標準であったのに食欲が十分でなかったりで、十分な栄養がとれずここへ入る子供も前述の身長・体重とも母子手帳の発育表の3%タイル下限をたどって発育してきたのです。

第一の項目に入る人は低出生児生低身長、第二のものは家族性低身長、第三のものは栄養障害性低身長と呼ばれ、いずれも成長ホルモンの分泌は正常であるけれども低身長と思われています。しかし詳しくみてみますと、この3項目に入る人達の中にも成長ホルモン検査をすると分泌が悪いこと、即ち成長ホルモン部分欠損性であることを示すデーターが得られることがあります。

その他に女児で標準身長から15cm以上も背が低い時、外見上全く異常がなく見えても、染色体検査を受けてみると、異常があって、将来女性としての成長に障害の出るターナー症候群や、太りすぎ傾向で背の低いブラター・ウィリー症候群が見出される時があります。この2疾患に対しても最近は成長ホルモンによる治療を受けることが出来るようになり、身長を伸ばすことができるようになりました。

この他にもいわゆるオクテ「思春期遅発症」を伴う体質性成長遅延、その他まだ現代の医学でははっきり原因を明らかにできないでいる成長の遅れと思われているものの中にも、精力的に検査をしたり、丹念に発育の経過を追ってみると原因が明らかになり、治療の道が開かれることがあります。

現在、子供の身長が低くたとえその原因を、親として思い当たり、背を伸ばすことについて諦めている場合でも、もう一度背を伸ばす可能性があるかも知れないと考え、専門医の受診されるとよいと思います。その祈りには予約すると共に、今迄の発育表、母子手帳も持参されるのが良いでしょう。

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