医療法人真正会 川村小児科 kawamura children's clinic

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コラム
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療について



医学がこんなに進歩する迄は、人間の手の及ばない所の代表に、頭の中、心臓、身長がありました。現在では、開頭術、開心術、身長促進といずれも可能になったのです。今回は低身長の治療について述べます。

同学年の3~4クラス集まった中でも、背の低さで1~2番目くらいの低身長で、いろいろ検査をして、成長ホルモン不足のあることが分った上で成長ホルモンを治療として使うと、治療前に、その時の標準身長から12~15cm以上低かった身長が4~8年間に標準に近づくのですから素晴らしいことです。
もし治療せずにいたなら成人しても電車の吊輪にも手がとどかなかったり実生活上大変な支障があるはずなので、治療でその人の人生が一変したと言っても過言ではないでしょう。

次もホルモンの病気ですが、最近の医学の進歩の恩恵を十分に受けている思春期早発症を話しましょう。
これは一時的に急速に身長、体重の増える時期があり、両親は大きくなったと喜んでいると、女子で8才以前、男子で9才以前に思春期がが来てしまうのです。そのまま放置しておくと背は非常に低いままで止まり、10才位で成人になったのでは、精神的発育が伴わず、実生活がうまく行かないので悲劇でした。この病気は以前から知られており、治療も内服薬、点鼻薬、一ヶ月に一回の注射薬へと変わって来て、とてもよく治療効果が出るので、以前のように低身長プラス精神的未熟に泣くことがなくなりました。

甲状腺ホルモン不足もまた成長を妨げます。生まれつき(先天性)のものは出生時代謝異常検査(ガスリー検査)でほぼ100%発見されますし、それ以後発症(後天性)のものも治療を開始すれば症状、低身長も直ちに回復してきます。

女児だけですがターナー症候群と言って染色体異常と卵巣発育不全のくる病気があります。これには背が低いだけの人から外見ですぐわかる人まで幅広い症状があるので精密検査が必須で、3000人に1人の頻度ですから決して稀ではありません。この病気もまた成長ホルモン治療で身長を伸ばすことができます。

その他、軟骨の病気の軟骨異栄養症や腎臓の働きがひどく悪くて(慢性腎不全)、成長障害のくるものにも成長ホルモンを使うことができるようになっています。
しかし前述したターナー症候群以外の大部分の染色体異常、先天性奇形症候群、骨系統疾患など原疾患の治療法も十分でなく、当然のことながらそれに伴って起こってくる成長障害(低身長)に対しても良い方法のない病気が多くありますが、ここに入る人はごくわずかで、実際には、低身長で専門外来を訪れる人の中では、背が低いだけで、成長ホルモンその他すべての検査成績は正常で、原因不明のため特発性低身長と呼ばれる一群が約18%、家族性低身長、体質性低身長、低出生性低身長-出生時身長47.5cm以下で3才までに標準身長にならず、ぞれ以後にも低身長が続いているもの-などが約50%にも及ぶので、こうした人たちの背を伸ばすには医学のもう一段の進歩が必要です。

遺伝子組み換えの技術でヒト成長ホルモンを充分に使うことができるようになりましたが、これだけに頼るわけには行きませんし、たとえ成長ホルモンが使える病気であっても低身長の程度を少しでも軽くするための食事の大切さはもっと重要視されるべきだと考えています。
低身長の人に.3才までの食事不足、特に蛋白質不足は付き物のように思えます。
母乳からミルク、離乳食への切り替え失敗とか、生来小食、偏食など栄養性低身長と考えれる頻度の多いことに驚きますし、小学校入学時の背の順とよく相関すると言われているので、この時期にクラスの一番前になったら将来低身長で悩むからと対策を考えるべきなのに、こうした一般常識もあまり活用されているとは思えないのです。

以上述べてきましたように今迄全く治療法がないと考えられていた低身長も医学の進歩で治療できるようになって来ましたが、全ての低身長を治療できるのではありません。成長には一定の期間があるので時期を失しないようにしたいものです。適切な時期は小学校入学前から10才位でしょう。
予約し、今迄の発育表、母子手帳を持参して専門医を受診されると良いと思います。

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