コラム
Column
低身長 3 思春期開始時の身長で最終身長が決まる
低身長の小児の親であっても、思春期発来時の身長急伸に過大な期待をかけていることが分かったのは驚きでした。本当の思春期開始年齢は一般の方が考えているよりずっと早く、男子で11才6カ月、女子で9才9カ月が平均です。
思春期がいったん始まると、少し個人差はありますが、最終身長までの伸びは、平均的には大きな差はないのです。男子では思春期が始まって最終身長まで約30cm、女子では約25cm伸びます。このように第二次性徴が出現して、最終身長になる間の身長の伸びが一定しているのに、最終身長で男子平均170cm、女子平均157cmに達しない子が大勢いるのは、思春期になるまでの身長が標準身長と比較して大幅に低いからなのです。
具体的に言うと、思春期開始時の身長が低いと最終身長も低いまま終わることが多いからです。従って現在背が低いが将来平均くらいでありたいと思うなら思春期が始まる直前、男子なら10才くらい、女子なら8才くらいまでに標準身長にできるだけ近づくよう、少なくとも
標準身長マイナス1標準偏差以内(普通の子の68.3%はこの範囲に入るはず)に入るようにすることです。
繰り返して述べますと、最終身長を決めるのは、思春期が来るまでに伸びた身長によるので、思春期が始まってから伸びる身長によるものではないのです。男子の場合、声変りを迎えると思春期終盤で、その後は身長の伸びも多くはありません。女子の場合、初潮があればこれが思春期の終わりに当たりその後、身長は4.5cm位伸び最終身長になるのです。
小児の身長の伸びのパターンを知らず、いつかは背が伸びると思って6才から10才までの一番大切な時期に何もせずにいて、身長の伸びが止まりかける頃に悩む人が多いのは本当に残念なことです。
思春期が男子で130cm以下で、女子で125cm以下で始まった場合には、最終身長が男子で158cm以下、女子で147cm以下の低身長に終わることが予想されます。
男子で11才、女子で10才までに標準身長よりあまり差のある場合には専門医を受診し、対策をたててもらうことが必要でしょう。
名誉院長 川村 正彦