医療法人真正会 川村小児科 kawamura children's clinic

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コラム
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の原因と頻度



最近の医学の進歩はすばらしく、今までは治療不可能だったことが次々に可能になっています。
その1つに背の低い人に成長ホルモンを使うことで普通の人と同じ身長に近づけることがあります。

しかし背が低ければだれでもこの治療が受けられるわけではなく、同年齢100人中、背の順で前から2番目か、3番目までの低さ、すなわち小学校低学年で標準身長より10cm、高学年で12cm、中学生なら15cmくらいも低いことと、いろいろな検査から成長ホルモンが本当に不足していることが分かって、初めて治療ができ、身長を伸ばすことが可能となるのです。
これに入る人は低身長で来院する人の13~15%くらいです。残りの大部分の人たちの低身長の原因は、祖父母、両親、親戚など家族の中に低身長の人がいて遺伝の力が強いと思われる家族性低身長6~9%。出生時普通は3kg、50cmあるはずが身長50cmを下回り、成長しても標準身長との差を縮められず、小学校入学となった低出生児性低身長。3歳までは成長ホルモンによる成長よりも毎日の栄養が十分かどうかが成長には一番関係するので、3歳まで食事を十分とっていないことからの低栄養性低身長です。

この3つで低身長の原因のほぼ半分以上を占めます。

この他精密検査をしても遺伝性の原因も、見当たらない、現在の医学レベルでは原因不明としかいいようがない原発性低身長が18.3%、染色体異常によるターナー症候群4.2%、骨軟骨の異常によるもの3.2%、そのほか4.8%、不明7.7%です。
視点を変えての背の低さの程度から見ても前述の成長ホルモン治療を受けられる範囲に入るほど極端な低身長ではなく、標準身長から7~10cm以内の低さの人がとても多く、またこの人たちすべてを満足させる良い治療法も多くないのも事実です。

こうした大多数の人たちの治療はまず低身長の原因になっている事柄で、除くことのできるものや、治療できることを行い、できる限り身長が伸びるようにするのは当然のことです。

低身長の人にほとんど見られると言っても過言ではないのは食事量の少ないことです。小食のほかに、好きなものならまずまずの量を食べるのに、嫌いなものは食べないので、平均の食事量は少なくなります。

どんな治療法をするにしても食事量、特に蛋白質の量を多くしなければ背は伸びないので、こうした少食の人たちに対しては1週間の食事およびおやつなど食べたものをすべて計算し、記入させ、それを専門の栄養士の分析により、食事の偏りの発見、少量しか食べられないなら、高蛋白高カロリーの食品に重点を置くなど、食事習慣の改善も低身長を治すには大切なことです。
しかし来院時期が遅すぎて身長の伸びが止まりかけている人や、治療しても本人の希望身長に達しない時は、長く低身長での劣等感に悩まないためにも、早めに心理面でのカウンセリングも必要になります。

現在身長が低いことだけでなく、最終予測身長を考えた上での診療相談が大切なのです。
前述したような背の低さ、1年間の身長の伸びが6歳から12歳の小学生の間で4.5cm以下の時は、今はそれほどなくても、数年の内には必ず極端な低身長になることが予測されるので、十分相談できる専門医を早めに訪ねることが良いでしょう。

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